2016年1月17日日曜日

台湾のBライファー?

(この記事には時差があります)

今回は本当に書こうか書くまいか、ずっと迷っていた。
きちんと説明出来る自信がないから。
とりあえず自分に書ける範囲で。

そして、いきなりだけどタイトルは間違ってる。
Bライファーなんてもんじゃない、ただのライファーの話。
でも「ただのライファー」っていうのが実はすごく重要で、でもうまく説明できないんだけど、「生活している人」ってこと。

台南にいる、謎のおじさんと出会った。
王庚(アクン)という人なんだけど、詳しくは

無理を承知で、無理やり説明すると元々はアーティストで、今はたまに働いてお金を稼いでは台湾各地を点々としながら暮らしている50歳ぐらいの男性。とにかく何にも縛られずに自然体で生きている人。

そのアクンに、自分は小屋を作っている話をしたら「俺も海辺で小屋を作っている、今から行こう!」って誘われて行ってきた。

ボロッボロの車に乗せられ、信号無視で爆走するアクン。

と思ったらなぜか空き地に到着。廃材を拾いまくる。
わけもわからずとりあえず手伝う。

海に到着した。小屋じゃなくて船!

寝室を案内していただいた。
「オンリースリープ!ベリーシンプル!」と説明を受ける。

海水で板に書いて筆談する。
廃船に勝手に住んでいて、ここはあくまで寝るための拠点ということらしい。
何度も真顔で「朝起きて海にトイレをするが、トイレの前に顔を洗わないといけない!じゃないと顔が汚れてしまう、これがすごく重要!」と説明するのでちょっと笑ってしまった。

そして海に到着。

これがアクンが建てた小屋。
たった一人の作業でここまで一ヶ月かかったらしい。
材料は全て廃材。一円もかかってない。

室内でいろいろ質問しつつ、ポートレートを撮らせてもらう。
右奥に見えるのが小上がりになっている寝室。

リビング。

リビングからの眺め。
海に潜ると魚や貝が採れる。
実際に彼はそうやって生活している。

隙間だらけだけど、台南は冬でも天気がいいと温かい。
波の音を聴きながらだとよく眠れる、とのこと。

基本的に外壁は竹。固定は番線。
台風がくることもあるからガッチリ締めている。

室内にはしごがある。
なんと二階を建築する予定だという。

屋根からの眺めはとてもいい。

畑もある。

アクンは台湾中に拠点を作っているらしい。
もちろんほとんどが違法らしいのだが、彼は法律とかそういうの関係なしに生きている。かと言って一般の人と違う世界、違う層を生きているのかっていうと、そうでもない。彼は普通に屋台で飯も食うし、スマートフォンだって持っている。
こちらから様々な質問をするのだが、アクンはことあるごとに「ジャストライフ」と答える。
各地に勝手に住み着いて、食いたいものを食い、寝たい時に寝る。
「マイライフ、ベリーシンプル、シンプル イズ グッド」とも言ってた。
彼にとってはまさに「ただの生活」、それがすごく魅力的に感じる。

ただ自然体に生きることを突き詰めれば、世間一般からは特別な存在のように感じられるが、それはこちら側が勝手に思っているだけであって、彼はただ自然に生きているだけである。


・・・


アクンは「まだ時間があるだろう?人手がいるから付いてきてくれ!」という。

テトラポット。
釣り人がいるなか、アクンは一直線に目的地へ向かう。
結構、雨が降ってきた。

どうやら流木を運ぶようだ。
線路の枕木が流れ着いているらしい。
この枕木は以前から目をつけていたらしいがテトラに挟まっていて一人じゃどうにもならないという。
とりあえずその辺に落ちている石でテトラを削る。
土砂降りになってきた。

なんとか二人がかりでテトラの上まで運び上げる。
水含んでるからむちゃくちゃ重い。持参したチェーンソーで切る。
素手、サンダルでチェーンソーを使う人を初めて見た。
普通に考えるとかなり危険な行為だけど、自分の経験則で全て行動する人なんだろう。
雨に濡れ、波を何度も被りながらの作業だが、この光景にカッコいいと素直に思った。

ようやく3つに切り落して、一服。

分解して小さくしたけど、それでもめっちゃ重い!!!

アクンはヒョイヒョイと運んでいく・・・。

それでもこのままじゃ車に乗せられないので更に分断。


その後も、いろいろ廃材を運ぶ。
エッサホイサ。

どうやら新しい場所に何かを作るらしい。
何を作るかを詳しく聞いてみたけど、「うまく言葉にできない」とのこと。


・・・


雨の中の作業のせいか、自分はその後に風邪でダウンしてしまった。
熱にうなされながらずっとアクンのことを考えていた。

でも考えれば考えるほど、自分の理解を超えた存在になっていく。
頭の中で全く処理できなくなったので簡単に思うようにした。

「昔、近所にこういうオヤジいたよな」と。

声が大きくて、働きたいときだけ働いて、酒を呑んでは歌い出す、フラフラとどこかへ行き、フラフラっと帰ってくる。
そういうオヤジがちょっと前まで日本でも少なからずいたように思う。
まだいるかもしれないけど、肩身が狭いだろうな・・・。

日本だと、生きたいように自由に生きれば、世間の「何か」が邪魔する、邪魔になるけど、台湾だと寛容なのかな?と思った。それとも案外、その「何か」は幻想でしかなかったりするのかも。

自分の親戚にも大酒飲みで放浪癖があるおじさんがいたけど、随分前に他界しちゃった。
そのおじさん、寡黙でほとんど話したことないけどすごく魅力的だった。


・・・


宿に帰ってきてアクンに今日のお礼を言おうとすると、
「ノーノー、ジャストライフ!」と遮った。
何も答えられず・・・。

「フラワー!タベル!タベル!」と差し出された花。
苦かった。

2 件のコメント:

  1. あ~思い出した
    高円寺のリサイクルショップの店長さんが
    デモ騒動の時に荻上チキの番組に出て話してて
    ついでに台湾でおもろい事やってる連中が居たんで
    住んできたって話をしてたけどその工場だね此処

    返信削除
  2. life is all about experience with good funny guy...

    返信削除